古物商許可が必要なのは下記のような場合です。
ただし、無償で受け取ったものを売却する等、古物の買取りを行わず古物を売却する場合や、自分が売却した物をその売却の相手方から買い受ける場合は古物営業にあたらず古物商許可は不要です。「海外から直接古物を買い取り」国内で販売する場合も古物商許可は不要です(国内の輸入業者から海外の中古品を買い取る場合は古物商許可が必要です。)。また、古物営業にあたらない場合は申請しても受け付けてもらえないので注意しましょう。具体的には、実際は古物営業をしないのに融資を受けるためだけに古物商の許可を得たりする場合などです。
古物とはどのようなものをさすのでしょうか?
古物営業法上の古物とは下記のように定義されています。
1に出てくる「使用」とは本来の目的に従って「使うこと」です。
なので、幾分の手入れや修理を行っても本来の目的に従って使うことができないものは古物にあたりません。
例えば手入れや修理を行えばまだ乗ることのできる中古車は古物にあたり、手入れをしても修理をしても走らない車は廃品という扱いになるということです。尚、自動車の部品にも「使用」の定義は適用され、幾分の手入れや修理を行えば使用可能な中古部品は古物に該当します。
2は少しわかりにくい文ですが、簡単にいうと未開封品を中古品として買い取りを売却するような場合のことです。ただし、通常の小売店で新品を購入し転売する場合はその商品は古物には当たりません。(リサイクルショップで中古品を購入し転売する場合、その中古品は古物に該当します。)
3は中古車を整備した場合などのことです。
例外的に古物に当たらないものとして、20トン以上の船舶、航空機、鉄道車両等があげられます。
盗品として出回る可能性が低いため古物から除外されています。
古物商許可が下りない場合とはどのようなときでしょう?
それは申請者、法人の場合は役員、管理者が下記の欠格事由(「古物商としての資格から外れる理由」というような意味)に当たる場合です。
1の成年被後見人や被保佐人とは障害などにより契約行為など法律的な行為に制限がある方のことです。
5は営業に関して成人と同じ能力をもつ未成年がいるということを示唆していて、それはどのような人のことをいうかというと、結婚をしている人、法定代理人(親など)から営業の許可を受けている人、もともと古物商を営んでいる人の相続人でその相続人の法定代理人が1~4に該当しない人のことをいいます。
次は申請営業所が理由で許可が下りない場合について説明します。
古物商の営業所として申請できない物件とは下記ような物件です。
1に関して、申請法人の本店所在地がバーチャルオフィスであっても古物商の営業所として申請する場所がバーチャルオフィスでなく実際に古物営業の実態があれば問題ありません。
2に関して、古物商の営業として申請する物件の賃貸借契約書(購入した分譲マンションの場合は管理規約等)の使用目的欄に居住専用等営業してよい旨が読み取れない場合は、事前に大家さんもしくは管理会社に古物商の営業所として使用してよいか確認する必要があります。
中には賃貸借契約書のコピーや使用承諾書が不要の自治体(神奈川、埼玉、愛知、大阪など)もありますが、そのような自治体であっても、古物営業に関して大家さんなどとトラブルが発生しないことを前提として許可が下りているので予め使用の可否について大家さん等に確認するほうが無難です。3に関して、神奈川県などの場合、インターネット上の売買で看板を掲げることなく来客等なく規模も大きくなく、周りの住人に迷惑をかけるようなことがなければ、公営住宅であっても営業を行ってもよいようです。(この場合、インターネット上に許可番号等を掲載し、玄関内にプレートを掲げるという方法をとることになります。)事業内容や自治体によって異なるので各自治体の公営住宅の管理を行っている団体にご確認下さい。
最近は外国人のお客様の申請を代行するケースが増えてきました。中国、韓国、ミャンマー、バングラデシュなどさまざまな国のお客様がいらっしゃいます。
外国の方の申請で気を付けなくてはならないのは下記の要件です。
1.在留資格が「経営・管理」「永住者」「特別永住者」「定住者」「日本人配偶者等」であること
その他の在留資格の場合は資格外活動許可の申請が必要です。尚、法人申請の場合、法人の代表者が日本在住の場合は1の在留資格であることが必要です。法人の代表者を含め、役員が海外在住の場合は当たり前ですが在留資格は関係ありません。ただ、その場合は日本の古物商の営業所に管理者を置かなければならないので、管理者が外国人の場合は管理者の在留資格が1もしくは人文知識・国際業務等である必要があります。また、古物商の管理者の在留資格の制限については、以前管理者の在留資格が1以外で申請し許可がおりたことがありますが、その時の警察の回答が「100%ではないがおそらく問題ないとしか言えない」というものでした。管理者の在留資格について予め管轄の警察にご確認いただくことをお勧めします。
中古車や中古バイク等を扱う場合に、警察から質問されるのが「買い取った自動車等の置き場所の有無」です。古物の保管場所の有無は古物営業法上は許可取得の要件ではないのですが、その他の法律、すなわち道路交通法に抵触する可能性があるためこのような質問をするのです。
駐車場の確保については自治体により厳しいところとそうでないところがあります。
例えば、東京都のように自動車の保管場所について必ず尋ねられる自治体もあれば、北海道のように自動車を扱う場合でも駐車場に関してはほとんど尋ねられることのない自治体もあります。
しかし、東京都のような自治体であっても「駐車場が必要のない営業方法*」である場合はその営業内容をしっかりと説明できれば駐車場を確保していなくても申請することは可能です。(管轄の警察署によっては駐車場が必要のない理由がかかれた「理由書」の提出を求められ場合もあります。)
*駐車場が必要のない営業方法とは「買い手が決まってから買い取り、オークション会場からお客様のもとへ直送する」場合などです。
古物商許可申請の際に少しやっかいなのが「URLの証明書」です。
固定のURLを用いてインターネット上で古物の売買を行う場合にはURLの届け出が必要です。
通常はインターネット上の「whois検索ができるサイト」で利用するURLを入力し検索すると「登録者名」「URL」「サービス提供業者」の3点が表示されますが、そうでない場合があります。
whois検索で結果表示されない場合はそれぞれURLの証明書として古物商許可申請書に添付する書類が変わってきます。
ここではwhois検索で結果表示されない場合の添付書類の一部をご紹介します。
【ヤフオク(ストア出店)】
ヤフーに問い合わせるとURLの証明書を発行してもらえます。
【amazon】
商品が掲載されたページの「特定商取引法に基づく表示」もしくは「プライバシーポリシー」という項目をクリックすると「ストアフロント」「出品者情報」が掲載されているページが表示されますのでそのページをプリントアウトしたものを添付します。(自治体によっては異なる場合もありますのでご注意下さい)
【お茶の子ネット】
お茶の子ネットに問い合わせると「登録証明書」を発行してもらえます。
【BASE】
古物商許可取得後に古物商許可証の写真データを送ると「URLの使用承諾書」を発行してもらえます。
【wix】
こちらをご覧ください。
「古物商許可が必要かどうか」「古物商許可の欠格事由にあたらないか」「営業所の要件はクリアーしているか」を確認し問題がなければ以下の書類を集めましょう。
【全ての自治体に共通の書類】
1.古物商許可申請書
2.誓約書(個人用・役員用・管理者用)
3.住民票(本籍地の記載のあるもの)
4.身分証明書(禁治産でないことなどを証明するもの)
5.登記されていないことの証明書
6.略歴書
7.URLの疎明資料(インターネット上でURLの割り当てを受けて古物を売買する場合のみ)
(法人申請の場合は上記書類以外に)
8.定款のコピー
9.法人登記事項証明書
以上が書類が必要です。
2~6の書類については申請者以外に管理者分、法人の場合は監査役以上の全て役員、合同会社等の場合は登記事項証明書に記載されている社員全員分が必要です。
【その他の添付書類】(自治体により必要なところとそうでないところがあります)
1.賃貸借契約書のコピー(営業所が賃貸物件の場合)
2.不動産登記事項証明書(営業所が自己所有の場合)納税通知書のコピーでもよい自治体もあります
3.使用承諾書(居住専用・営業不可物件の場合)
4.営業所の図面
5.付近略図(ゼンリンの地図をコピーしたものなど:複製許諾証の貼り付けが必要です)
6.駐車場の賃貸借契約書のコピー(駐車場が賃貸物件の場合)
7.駐車場の不動産登記事項証明書のコピー(駐車場が自己所有の場合)
8.URLの使用承諾書(URLの登録者が申請者ではない場合)
(法人の場合は上記書類以外に)
9.確認書(定款の事業目的に古物の売買が読み取れない場合に必要(不要な自治体もあります))
以上の書類が必要です。
その他イレギュラーなケースでは「理由書」などを添付することで申請可能な場合もあります。
【副本について】
副本については「古物商許可申請書のみのコピーをとれば良い自治体」や「古物商許可申請書とその他全ての添付書類のコピーが必要な自治体」、「副本が必要ない自治体(新潟県など)」の3パターンがあります。いずれの場合であれ、変更届を出す時などのために自分用の控えとして申請書のコピーはとっておきましょう。
5年間の略歴を空白期間がないように記入します。
仕事をしていない期間は「無職」または「休職中」などと記入します。
自治体によっては略歴書の書式をホームページでダウンロードできますが、特にその書式を利用しなければならないというわけではなく「5年間の略歴」「日付」「住所」「氏名」の記入と「捺印」があればどのような書式でも、略歴書として認められる場合がほとんどです。
ただし自治体によっては住所歴・生年月日・賞罰・本籍地の記載を求める場合もあるので予め管轄の警察署に確認をした方が確実です。
略歴書への捺印は個人古物商許可申請の場合も法人古物商許可申請の場合も個人印(認印、実印のどちらでもOKです)を用います。また、写真の貼り付けまでは基本的には求められません。求められても自治体共通の見解ではなく、管轄の担当の警察官の判断で求めている場合があります。略歴書への写真の貼り付けを求められた場合は、本当に必要かどうか担当の警察官から警察本部に確認をしてもらうようにお願いするとよいでしょう。
誓約書には「個人用」「管理者用」「役員用」があります。
個人申請の場合は「個人用」と「管理者用」
法人申請の場合は「役員用」と「管理者用」
を用意します。
個人の申請者もしくは役員が管理者を兼ねる場合は兼ねる人に関しては管理者用のみでよい自治体もあります(東京都など)。
「~県(都、府、道)古物商 誓約書」と検索すると
ダウンロードできるページにたどりつけます。
住所等を記入し、署名をし、個人印(認印、実印どちらでもOKですが誓約書に用いた印鑑と同じものを使用します)で押印し完成です。
その他の書類を準備する際の注意点を説明します。
警察へ何度も足を運ばなくてもすむように提出前に書類や持ち物をチェックします。
必要な書類については前に説明した通りですので不足している書類がないか確認して下さい。
古物商許可申請に行く前に必ず行わなければならないことがあります。
1に関して、例えば申請者の住所もしくは申請法人の所在地が営業所とは別の自治体(都道府県外も含む)であっても古物商許可の申請先は営業所を管轄する警察署です。2に関して、警察署によっては古物商の担当の警察官が1名しかいない場合もあります。事前に連絡をせずに申請しに行くと待たされたりその日は担当の方が休みで日を改めて出直さなければならなくなってしまうことがあります。申請前に事前に警察へ連絡をし申請日時の打ち合わせをしましょう。その時に提出書類で不安な部分があれば確認するのも良いでしょう。3に関して、多くの場合申請先の警察署で¥19,000分の証紙(印紙ではありません!)が購入できますが、警察署によっては販売しておらず予め郵便局で購入していかなければならない場合や証紙ではなく警察署の会計窓口で納付する自治体(東京都など)もありますので予め管轄の警察署に連絡し確認しましょう。いずれの場合であれ、申請し担当の警察官に書類を確認してもらってから証紙の購入または会計窓口への支払いをしたほうがよいでしょう。4に関して、個人古物商許可申請の場合の申請者自身や、法人古物商許可申請の場合の代表者以外の方が申請に行く場合は委任状に加え法人の場合は社員証と運転免許証などの本人確認書類が必要です。(法人の代表者以外の社員が申請する場合は社員証のみでよい場合もあります。)5に関して、古物商許可申請書、誓約書、略歴書等の内容に記入間違いがあった場合にその場で訂正ができるように申請書、誓約書等に押した印鑑と同じ印鑑を持参しましょう。
古物商許可が下りるまでにかかる日数は申請から約40日です。東京都の場合は土日祝日を除いて40日程度ですので約2か月ほどかかります。
古物商営業開始予定日から逆算して余裕をもって申請をしましょう。